2008年3月28日(金)
ジョンソンはダルエスサラームで生まれました。
ジョンソンは2つ年下の弟と2人兄弟。
両親は彼らがまだ小学校低学年のときに亡くなり、キリマンジャロ州のロンボ県の村に住む、お父さん方のおばあちゃんに引き取られました。
その日からおばあちゃんと弟との3人の生活が始まりましたが、おばあちゃんは高齢で、家も崩れそうな程です。
畑はありますが、おばあちゃんは畑仕事もほとんどできませんし、肥料を買うお金もないので畑の収穫は微々たる物でした。
2人はおばあちゃんを手伝いましたが、やっぱり生活は厳しかったことでしょう。
ジョンソンはそういった厳しい生活のせいでしょう、悪い方向へ進んでしまいました。
学校をさぼってマンゴーを取りに行ったり、おばあちゃんに言わずに知り合いの家に泊まりに行ったり、おばあちゃん自身、だんだん手がつけられなくなりました。
そんなとき弟は病気になり、教会のシスターに引き取られていきました。(弟はジョンソンが家を出た後に回復しておばあちゃんの家に戻され、今もおばあちゃんと暮らしています。シスターからの支援を受けて小学校にも通っています。7年生。)
ジョンソンの家には、もうひとつ問題がありました。
おじいちゃんには2人奥さんがいて、おばあちゃんは第二夫人でした。
ですからおばあちゃんは土地と家を与えられ、おじいちゃんとは別に住んでいました。
おばあちゃんの息子たち(ジョンソンのお父さんたち)は、次々と亡くなり、一人残っていると思われる息子も、行方は分かりません。
数年前、おじいちゃんが亡くなり、第一夫人の息子たちがおばあちゃんのわずかな土地を奪おうと、おばあちゃんにひどいことをするようになりました。一度、食事に毒を盛ろうとしたことがありました。おばあちゃんに食べちゃダメだと止めたのはジョンソンでした。
そのせいで、おばあちゃんやジョンソンに対する仕打ちは酷くなり、おばあちゃんは体調を崩しました。
ジョンソンはある日、その息子たちに脅され、おばあちゃんに濡れ衣を着せて警察に連れて行けと命令されます。
そのため、おばあちゃんは警察に何度も行くはめになりました。
本当の理由を知らなかったおばあちゃんは、ジョンソンが自分を困らせようとしている、手が付けられないと思うようになり、ジョンソンにキツく当たるようになりました。
ジョンソンはジョンソンで、自分がおばあちゃんといると息子たちの仕打ちは酷くなるだけだと思いました。
4年生の長期休み中、ジョンソンは家を出て、面倒をみてくれるという知り合いのおばさんの家に寝泊まりするようになりました。
おばあちゃんはその日から、ジョンソンが私たちと一緒に戻って来るまで、彼がどうしていたのか知りませんでした。
ジョンソンはしばらくそのおばさんと暮らしましたが、その後おばさんの紹介で別のお金持ちのおじさんの家に引き取られることになりました。
そこには他にも3人の男の子が引き取られ、生活していました。
ジョンソンはその男の子たちにいじめられるようになりました。ある日、おじさんがいない間にタマゴを盗んだ男の子たちは、それをジョンソンひとりのせいにしました。
これまでにも何度もそのようなことがあったので、おじさんもジョンソンの面倒はもう見られない、と思い、別の人に引き取ってもらうことにしました。
そのおじさんは、ジョンソンをアルーシャの小学校に入れる、といい、転校手続きを済ませ、ジョンソンを連れてモシまで来ました。
バススタンドでおじさんはジョンソンに「ちょっと待っていなさい」と言ってどこかへ行ってしまいました。
ジョンソンはひとりで2時間以上待ちましたが、おじさんは戻ってきません。もう辺りは暗くなっていました。
その時、別のおじさんがジョンソンに話しかけてきました。
ジョンソンはそのおじさんの家に行くことにしました。
そのおじさんが、私が初めてジョンソンに出会ったときにジョンソンが住んでいたおうちのおじさんでした。
おじさんはジョンソンを住まわせる代わりに、家畜の世話をさせていました。
しかし勉強を続けたかったジョンソンは、KODOMOセンターに来るようになり、家畜の世話がおろそかになり、またこのおじさんの家も追い出されてしまったのでした。
これがおばあちゃんと、ジョンソンから聞いた話から、私が理解したジョンソンの過去です。
全てが本当かどうかは分かりませんが、ジョンソンが大人にたらい回しにされ、いろいろな仕打ちを受け、心を傷つけられてきたことは確かだと思います。
それはおばあちゃんの前で、泣きながら過去を話し、膝をついて謝ったジョンソンの姿からも伝わってきました。
私はその姿を見て、これ以上ジョンソンを傷つけたくない、裏切りたくない、と心から思いました。
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